日本は昔から森林と共に生き文化を築きあげ私達の生活に深く関わりを持ってきました。
森林の恵みを大切にし、森林から多くのことを学んできたのです。
このように私達の生活に重要な役割を果たしてきた森林は、今どのようになっているのでしょうか?
現在の日本の森林は、国土の約7割は森林であり、その森林の所有は国有林30%民有林70%です。
その民有林のうち農家が3分の2を占めていて、その次にサラリーマン、自営業、年金生活者などであり、森林所有の約9割は個人所有となります。
ところがその所有面積をみると1ha位(サッカーグランド程度の広さ)つまり小さい面積を持つ世帯がほとんどであり、これで林業収入を得る対象と考える人は少なく、森林を所有していても手入れを行っていないという人がほとんどです。
また日本の森林は自然林と人工林があり4割が人工林です。この人工林の恵みを維持、保全する必要があります。
日本の林業は特に戦後、荒廃した森林をよみがえらせるために全国で造林が進められました。
拡大造林の進展により、昭和30年代、40年代は木材需要、木材価格とも好調に推移した時期であり、日本の林業が最も活況を呈した時期でした。
しかし、林業をとりまく条件はこの頃から急速に変化して行きます。
原因としては蒔炭から石油系燃料に、また輸入林の増加により林業経営は厳しい状況に置かれて行きます。
それに伴い林業労働力は不足し森林を管理する仕組みは崩れていきました。
そして、森林を軸にして形成された地域社会である山村は、過疎化、高齢化が進み森林経営どころの余裕などありません。
豊かな森林資源を活性化させるためには、山村の社会的経済的条件を整備する必要があります。
さて、このような現状をふまえ、森林インストラクターとしての役割を考えたときに、今や地球温暖化の問題などで多くの人が自然環境としての森林を評価する考えが定着してきています。
都市住民の間では快適でやすらぎのある緑空間としての森林に対する期待が高まっていて、都市と山村の交流など山村振興が期待されています。
多くの都市住民が山村に訪れるようになれば、それによって雇用が生まれ山村の所得源になり山村の活性化に繋がります。
このような都市と山村の交流に森林インストラクターが活躍し、森林地域社会を潤し、みんなで森林を大切に思い、その恩恵に感謝しながら、それぞれの地域の特徴を活かして森林を管理していくことができれば非常によい事だと考えます。