木々楽々(キキララ)ブログ

森林インストラクター、樹医の目線から自然環境について考えてみたい、またプラスチックより持続可能な資源「木」を使用した木工品の紹介とDIY を楽しみましょう。

森林インストラクター入門(森林のしくみと生態)1

林野庁監修の森林インストラクター入門の解説と感想をお伝えします。

f:id:KIkiRAra:20210305174843j:plain

・森林のしくみと生態(森林の分布)

木は黙っていれば勝手に生えて大きくなるものではありません。
日本は降水量が十分にあるので日本中どこにでも森林があり、日本人は森林があって当たり前だと思っている人が多いでしょう。
しかし、このような降水量の条件を満たすところは、地球上の陸地の3分1くらいしかありません。

私達は降水量の多い国に住んでいるので、雨が降ると嫌だと思う事はしばしばあります。
世界を見てみると、とんでもなく雨の少ない国がたくさんあります。
例えば、エジプトのカイロの年間降水量は、わずか21㎜です。日本で言えば夕立1、2回の量になります。

f:id:KIkiRAra:20210223052004p:plain


このように降水量が極端に少ないところには、木はおろか草も生えません。これが砂漠です。
地球上の陸地の5分1は砂漠です。

もう少し降水量が多いと、そこには草が生え、草原になります。
この草原も砂漠と同じように地球上の陸地の5分1くらいが草原です。

草原にもう少し降水量が増え、湿ってくるとようやく木が生えてきます。
草原の中に木が点々と生え、または茂みをつくってくる。それがサバンナです。


そして、これよりさらに雨が降るとようやく森林ができてきます。これが植生の原則です。

乾燥か湿潤かによって砂漠、草原、サバンナ、森林と対応しているのです。

f:id:KIkiRAra:20210226055237p:plain


f:id:KIkiRAra:20210225060536j:plain

1:熱帯多雨林
2:熱帯・亜熱帯の半常緑樹林
2a:熱帯・亜熱帯のサバンナ・低木林など
3:熱帯・亜熱帯の砂漠・半砂漠
4:冬雨地帯の半緑硬葉樹林
5:暖温帯常緑広葉樹林
6:冷温帯夏緑広葉樹林
7:温帯草原(ステップ、プレーリー、パンパ)
7a:寒冷な冬をもつ砂漠・半砂漠(チベットを含む)
8:北半球の北方針葉樹林(タイガ)
9:ツンドラ
10:アルプスなどの高山植生

世界の植生の分布と降水量の分布を比較して見ると雨の多いところは森林になっていて、雨の少ないところは砂漠や草原であったりします。
そして、この気候がそれぞれの暮らしや文化に大きく影響を与えています。