地球全体の平均気温が0.3~0.6℃上昇しています。また海面水位も10~25㎝上昇しているのです。これは人間の活動が気候への
影響が既に地球規模で現れていることを示唆します。
(IPCC )気候変動に関する政府間パネルの予測では、地球全体の平均気温が2100年には、1990年と比較して2℃上昇し、海面水位は約50㎝上昇すると予測されています。
このような地球温暖化にともなって、自然災害の増加、食料生産への悪影響、生態系への打撃、地下水の塩水化などに伴う水資源への影響など、様々な問題が世界各地で起きています。
これも人間の活動が影響していますがオゾン層を破壊する物質を適切に処理した場合は、「モントリオール議定書」に基づき設けられた科学評価パネルの予測(1998年)によれば、2050年までには1980年以前の水準まで戻ると予想されています。
国境を越えた国際的な問題として酸性雨の問題は、ヨーロッパ諸国などで土壌や湖沼の酸性化が生じており、酸性雨による森林や湖沼などの生態系に悪影響を及ぼしています。これは、化石燃料の燃焼などに伴う硫黄酸化物や窒素酸化物によってひきおこされていると考えられています。
地球環境の保全に重要な役割を果たしているのが森林です。世界の陸地面積の4分の1は森林ですが、その森林はどんどん減少しています。
開発途上地域での過度の焼畑耕作や過剰な伐採などにより、森林は大幅に減少しており、また熱帯林の減少により野生動植物の種の減少などが進行しています。
さらに、砂漠化の問題です。砂漠化の原因は「気候的要因」と「人為的要因」の二つが挙げられます。
気候的要因は地球的規模での気候変動、干ばつ、乾燥化などです。人為的要因は過放牧、森林減少、過耕作などです。乾燥地域の脆弱な生態系の中で、その許容限度を超えて行われる人間活動が砂漠化を進行させています。砂漠化は食料の供給不足、水不足、貧困の原因にもなっています。
ストックホルム宣言では、
「自然の世界で自由を確保するためには、自然と協調してより良い環境を作るための知識を活用しなければならない。現在及び将来の世代のために人間環境を擁護し向上させることは、人類にとって至上の目標、すなわち平和と世界的な経済社会発展の基本的かつ確立した目標と相並び、かつ調和を保って追求されるべき目標となった」と記されています。
この宣言から半世紀、自然環境はどうなったでしょうか?
先進諸国と開発途上国との間で公害をめぐる認識の対立は大きく、その後も、先進国においては、大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルと経済活動の拡大が、開発途上国においては、貧困から脱却するため、持続可能とは言えない開発が優先的に進められました。
現在に至っては、人類の未来について深刻な予測が相次いで発表されると、地球上の資源の有限性や環境面での制約が明らかとなり、世界の人々に大きな衝撃を与えました。
こうした中、我が国の提唱に基づき国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に報告した「我ら共有の未来(Our Common Future)」において、「持続可能な開発」という概念が提唱され、一般に定着するきっかけとなりました。「持続可能な開発」は、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」を意味するとされています。
これらの動きを踏まえ、1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された、環境と開発に関する国連会議(地球サミット)において、持続可能な開発を実現するための行動原則である「環境と開発に関するリオ宣言」とその具体的な行動計画である「アジェンダ21」等が採択され、「持続可能な開発」という概念が全世界の行動原則へと具体化されるとともに、持続可能な開発が、人類が安全に繁栄する未来への道であることが改めて確認されました。