木々楽々(キキララ)ブログ

森林インストラクター、樹医の目線から自然環境について考えてみたい、またプラスチックより持続可能な資源「木」を使用した木工品の紹介とDIY を楽しみましょう。

合板を正しく知ろう

ホームセンターでは、いろいろな種類の合板が売られている。まずその合板とは何か?を正しく理解したい。「合板?ベニヤ?コンパネ?構造用合板?ランバーコア?」など、こうした合板の特徴や用途、JAS 規格、合板のサイズなど理解しておこう!


もくじ

・合板とは
・JAS規格とは
・構造用合板、普通合板、コンクリート型枠
 用合板のJAS規格の表示内容

・合板の特徴
・接着性能 ・合板の用途別分類
・ベニヤ合板、コンパネ、構造用合板、ラン
 バーコアの特徴、サイズ

・合板のリサイクル



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・合板とは

・合板とは

合板とは、文字通り板を重ね合わせた板の事をいう。何枚かの板を接着剤でくっつけて作る。
1本の木をかつらむきにし、1枚の板を交互に重ね合わせて作る。大根の桂剥きのように、原木を薄くスライスして板を取り出す。この薄くスライスした板のことを単板(たんぱん)英語ではベニヤという。この単板を幾層にも重ね合わせて出来た板を合板、英語ではプライウッド(PLYWOOD )という。
日本では、一般的に合板をベニヤ板と呼ぶ人が多い、これは、明治45年に範多商会がロシアから合板を輸入した際に、ベニヤ板と呼んだことが広まったとされている。
日本でも生産が始まり、1950年頃、尿素系の接着剤が開発され飛躍的に接着性能が向上した結果、生産量も大きく伸びることになった。
1920年ころからラワン材として安価な原木が東南アジアから輸入されるようになる。これが自然破壊へとつながっていくことから、現在では熱帯雨林保護のため原木樹種の転換を図っている。2013年では、合板生産の72%が国産材の使用で賄われている。



JAS規格とは

シックハウス症候群などの健康被害をクリアするために国が定めた基準がある。

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JAS規格(ジャパニーズアグリカルチュラルスタディース)略称「日本農林規格」合板の接着性能、強度性能、ホルムアルデヒド放散量などについて適合基準が定められている。

合板の裏側にはJAS規格の押印がある。その情報に基づいて、この合板がどんな合板かをチェックしよう。

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上の写真の合板は構造用合板で寸法は9.0×90×1820(㎜)。接着程度が特類で強度性能は2級である。板面の品質は表面がC、裏面がDでホルムアルデヒド放散量がF☆☆☆☆である。
ここで注目する点はホルムアルデヒド放散量だ。☆が多いほど放散量が少ない事を表示している。



・構造用合板、普通合板、コンクリート型枠用合板のJAS 規格の表示内容

構造用合板
 接着程度 : 特類、1類
 強度性能 : 1級(厚さ別及びABCD又はE-F
         で表示)
      2級(厚さ別で曲げ試験結果によ
         る)
 ホルムアルデヒド放散量
      F☆☆☆☆~F☆


普通合板
 接着程度 : 1類、2類
 板面品質 : 1~4等(広葉樹の場合)
       ABCDによる(針葉樹の場合)
 ホルムアルデヒド放散量
      F☆☆☆☆~F☆

コンクリート型枠用合板
 接着程度 : 1類
 強度性能 : 曲げ剛性試験による
 板面品質 : ABCD(表面加工なしの場合)
 ホルムアルデヒド放散量
      F☆☆☆☆~F☆

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・合板の特徴

・広い面積が得られる。
・製品サイズ(厚さ、幅、長さ)が豊富。
・含有率の変化に伴う伸び縮みがが少ない。
・あらゆる方向からの力に対して強さを発揮。
・単板の樹種の構成により、いろいろな性能
 の製品がつくれる。
・釘の保持力が高い。

合板は木材より強く、幅広く製作でき伸び縮みの少ない優れた建築材である。重要なのは接着剤による集合体なので接着剤の耐久性と安全性が最も大切になる。更に使用環境や使用目的も考慮される。




・接着剤の性能

特類(フェノール樹脂接着剤等)
・フェノールとホルマリンを主原料とする接
 着剤
・ユリア樹脂系接着剤やメラミン樹脂系と比
 較して耐水性、耐熱性に優れている
・屋外又は常時湿潤状態となる環境において
 使用することを主な目的とした合板

1類(メラミン樹脂系接着剤等)
・メラミンとホルマリンを主原料とする接着
 剤
・ユリア樹脂系接着剤と比較して耐水性、耐
 熱性に優れている
・保存性が悪いことと高価なことから、尿素
 とメラミンとホルマリンを組み合わせるこ
 とが多い
・コンクリート型枠合板および断続的に湿潤
 状態となる環境において使用することを主
 な目的とした合板

2類(ユリア樹脂系接着剤等)
尿素(ユリア)とホルマリンの主原料とす
 る接着剤
・一般的に硬化剤として塩化アンモニューム
 や酸が用いられる
・接着後の老化防止として小麦粉を加えたり
 粘土調整として水を加えたりして使用する
・時々、湿潤状態となる環境において使用す
 ることを主な目的とした合板

3類(増量ユリア樹脂接着剤等)
・家具や全く湿潤のないところで使用、現在
 では特殊用途に限られ、生産量も少ない




・合板の用途別分類

普通合板(1類、2類)
・一般的な用途に広く使われる。

コンクリート型枠用合板(1類)
・コンクリート打ち込み時にその堰板(せき
 たい)として使用される合板

表面加工コンクリート型枠用合板(1類)
・コンクリート型枠用合板の表面に塗装、オ
 ーバーレイなどの加工した合板。

構造用合板1級(特類、1類)
・建築物の耐力構造に必要な部位に使用され
 る合板

構造用、合板2級(特類、1類)
・1級と同様に使用される針葉樹合板が種で
 ある

天然木化粧合板(1類、2類)
・普通合板の表面に美観を目的として、天然
 銘木の薄い単板(スライスド単板)を貼り、
 住宅内装用や家具に用いられる合板

特殊加工化粧合板(1類、2類)
・普通合板の表面に美観と耐久性を目的とし
 て、天然銘木以外の物を貼ったり、木目模
 様などを印刷した表面加工合板で、オーバ
 ーレイ合板、プリント合板、塗装合板など
 がある





・ベニヤ合板、コンパネ構造用合板、ランバーコアの特徴、サイズ

ベニヤ合板

・単層の1枚板がベニヤ板
・貼り合わせたものがベニヤ合板
・一般的な内装や工作に使用
・1820×910(3×6尺)サブロクサイズ、厚
 さは2,3~30までバリエーションがある


コンパネ

・コンクリートパネルの略
・5層の板を貼り合わせた合板
・コンクリートダ打設の型枠に使用
・1800×900×12㎜が主流


構造用合板

・建物の構造上強度を必要とする場所に使用
・ベニヤ合板、コンパネより強度が高い
・床、壁、屋根下地などの下地材
・1800×910(3×6尺)厚さ9~28㎜がスタン
 ダード


ランバーコア

・合板の一種で様々な大きさの木片を並べて
 継ぎ合わせ、両面から大きな板を貼り合わ
 せて作る3層構造
・表面の板の違いでシナの木、ラワンなどの
 種類で「シナランバー」「ラワンランバー」
 などがあり化粧板を貼ったものもある
・軽くて強度が高い、耐久性に優れている
・収納家具、ドア、カウンターなどに使用
・1800×910(3×6尺)厚さが基本



・合板のリサイクル

住宅で使用した構造用合板、建築物で使用した型枠パネルなど、不要になったらどうなるのだろう?
不要にになった合板は粉砕装置で細かく粉砕され、間伐材などと共にパーティクルボードとして再利用される。

パーティクルボードは細かな木片や削りかすを合成樹脂で固めて熱圧成型した板である。
材質が均一で割れ、反り、節がない。大量生産、大面積の板の生産が可能だ。
しかも断熱性、耐候性、耐衝撃、防火性、庶音性に優れており、建築材のほかテーブル板、音響用キャビネットなどにも使用される。
更にこれが廃材となり、最終的にはバイオマス発電に利用される。